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2005 年 12 月 のアーカイブ

ゾーン

2005 年 12 月 27 日 コメントはありません

Joel on Software の書評を読んでいると,必ずといっていいほど
言及されているものに “ゾーン” というものがある.曰く:

知識労働者にスペースと静かさとプライバシーを与えると生産性が上がることについては、たくさんの報告がなされている…(中略)…知識労働者というのは,「フロー」あるいは「ゾーン」として知られる作業に完全に没頭して周りのことを忘れた状態にいるとき、最もよく働く。
(中略)

問題は「ゾーン」状態に入るのが簡単でないという点だ。…(中略)…もう一つの問題は、何かあると簡単にゾーンから追い出されてしまうということだ。

というものだ.そのため,プログラマには静かな仕事環境とプライバシーを確保し,ちょっとやそっとのことでは集中を乱されないようなクリーンルームのような環境を準備するべきだと述べられている.

たしかに,”ゾーン”状態に入っている時の作業効率の脅威的な向上自身の体験にも当てはまる.私の経験からすれば,この状態に入るには自宅で作業をするのが最も適している.

自宅であれば(各種誘惑はあるものの)自身の環境を全て自分でコントロールすることができる.他の人からつまらない雑用を頼まれることもないし,周囲の雑音に心を乱されることもない.

けれども,私のようなインハウスツール作成を生業にするようプログラマの場合,会社でクリーンルームに突っ込まれてしまっては仕事にならない.私の場合はツールを作る(Develop)のは当然ながら,周囲の人と対話をし,仕事を理解してそこに潜んでいる需要を堀起こす(Research)ことが最も大事かつ難しい仕事なのだからだ.

そのため,周囲の言動から目を背け,耳を塞いでしまうような行為を行なうことはできない.そんなことをするのは自殺行為に等しい.

では, Research と Develop の区切りをどうやってつければいいのだろうか.

ところで.”ゾーン” に入るには,本当にクリーンルームのような環境が必要なのだろうか?もしくは,年柄年中 “ゾーン” に入っていないと解決できないような仕事ばかり目の前に転がっているのだろうか?……そんなことはない.大抵はスライム級かせいぜいキングスライム級の仕事ばかりだろう.

そんな仕事をやっつけているときは,開発を続けつつ,現場で作業している人に混ざって Research をしていればいい.
ちょっと手強い敵が現れた時だけ,集中する為に周囲の音をシャットアウトする.

このとき,私の場合はお気に入りの音楽に助けを求める.大事なのは,既に何十回何百回と聴き込んで次にどんな曲が流れるのか,どんな音が出てくるのか判っているものを選ぶことだ.Shuffle なんてとんでもない!!発見はいらない.欲しいの予定調和だ.

ヘッドホンで音楽を聞けば余計な雑音はシャットアウトできる上に,次に何が起こるのか,思考の流れを自分の支配下に置くことができる.そのため,ゾーンとは言わないまでも高いレベルの集中力を維持することができる.

この程度の集中レベルの良い所は,途中で割り込みが入った場合でも比較的容易に同じレベルまで集中しなおすことができる点にある.通常の仕事なら,このレベルで十分こなせるだろう.

新しいツールの設計をしたり,〆切間際で完成度をどんどん上げていかなければいけないときなど,全力でその問題と戦わなければいけない時だけ,一人になれる場所に開発機材ごと席を移す.

このときだけは,電話もかかってこない,人もほとんど寄りつかないようなクリーンルームのような空間が必要になる.そして,この空間の確保こそが一番の問題にもなる.幸い,私の会社にはスタジオがあるのでそこを利用させてもらっているが,それがなかったら自宅で作業することになるだろうか.

長々と書いたが,結局は

  • “ゾーン” が必要な仕事は限られている
  • 集中のレベルをコントロールするのが大事
  • 要の部分だけは周囲との交流を断って仕事をすることも必要

という,極々当たり前のことを書いただけだ.もちろん,一人で全ての作業をこなし,普段から周囲と対話をしなくても仕事ができるような人ならば(私にはそんな仕事は想像できない!!)最初から最後までクリーンルームに籠って存分に “ゾーン” に入ってもらえばいい.

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Joel on Software

2005 年 12 月 24 日 コメントはありません

Joel on Software

世界的にも有名な blog, “Joel on Software” から抜粋された記事の日本語訳が最近出て,世間でも結構評判が 良いようなので私も買ってみた.

基本的には Web に書かれている内容のままなので, 英文でよければほとんどの記事が読めるのだけれども, 各種校正が入っている日本語文章として手元にあるというのはいろいろありがたいのだ.私もまだ頭の数章しか読んでいないのだけれども, プロジェクトマネージメントの勘所(とプログラマの生態)をさっくりと理解するにはとてもいい本ではないかと思う.

書かれている内容自体は,私の中では結構あたりまえに近い話も多い(そのうちのいくつかは氏の blog で知った概念も入っているが…)ので新鮮さは少ないものの, こういった分野について今まで関心を持っていなかったような人には目から鱗がボロボロと音を立てて落ちるような感動を覚えるだろう.

本書は主にプログラム開発の現場を仕切る人たちの為に書かれているのだが,意外と CG プロダクションでも流用できる概念が多いので,会社のマネージャクラスの 人にも読んでもらいたいなぁと思う部分が多々ある.

…というか,絶対に読んで欲しいと思う人が 2,3 人頭に浮かんでいる.まあその人たちが読んだからといってピンと 来るかどうかはわからないのだけれど.むしろ,ピンと来ないとしたらそこに問題が潜んでいるとも言える.

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