大抵の企業では、業務で優秀な成績を上げた人からどんどん昇進していき、その結果その人の能力が生かせなくなってしまうという事態が常に起こっています。これは一般的に「無能の壁」と呼ばれていて、それが起こる理由も、その弊害も認識されています。しかし、的確な処方箋が見つかっていなかったのがこれまででした。
本書は、 その問題に対して極めて科学的なアプローチで取り組み、一つの指針を示すことに成功しています。
本書では”才能”というものを
無意識に繰り返される思考、感情、行動のパターンである。
と定義しています。これはとても意外です。普段私たちは”才能”と聞けば、その人に与えられた唯一無二の能力のようなものを想像してしまいますが、どちらかと言えば生活習慣や癖に近い(もっと根本的なことであることは本書を読めばわかりますが)ことだという発想は今まで全くありませんでした。
更に、”才能”というものを定義した上で
- “才能”を34種類に分類
- 自己の持つ才能の確認
- 才能の生かし方(自他共に)
という順番で言及していきます。
才能を表現する34の言葉を知った後では、自分が何如に”才能”に対して表現する言葉を持っていなかったのかということを痛感させられます。試しに、自分が思いつく言葉をあげてみてください。5,6個、せいぜい10個ぐらいでしょう。
私も分類テストを受けてみたところ、こんな結果でした。
- 親密性
- 学習欲
- 着想
- 収集心
- 内省
なるほどな、と(笑。落ち着いた感じのする結果でしょうか。
才能が分類された後で、前述の「 無能の壁」を振り返ると、もう溜息しかでません。それぐらい、今まで経験的には何となく判っていたけれどもモヤモヤしていたものが晴れる感じがします。
“34個もあったら覚えきれない!!”と思うかもしれませんが、自分が持っている才能が何なのか、自分の(そして他人の)才能を生かすとはどういうことなのかを理解するだけでも一読の価値があります。